
皆さん、ラケットバッグは元気ですか? これは、私が10年ぐらい使ったラケットバッグだが、外側のファスナーが逝っちゃってる。あんたの使い方が悪いんでしょと言われればそうかもしれないが、ファスナーっていうのは壊れやすいものなんだ。富裕層の人には興味のない話だと思うが、私のような貧しい労働者階級の人はぜひ一緒に考えてもらいたい。だってこのラケットバッグ、壊れたのはファスナーだけなんだ。中は全く綺麗。まあ、金具に錆が出ているが壊れたわけではない。この10cmのファスナーのために新しくラケットバッグを買うのか? お金が無いのは言うまでもないが、それだけじゃない。私は、こういう天命を全うできずに捨てられていくモノというのがどうにも気持ちが悪いんだ。すべてのパーツが寿命を迎えて、『もう十分使ったね』って思えればどんなに気持ちいいだろう。だが、最近の製品というのはそういうふうに作られていな い。車もそうだし、あれもこれも目に見えるものはみんなそうなんだ。
ちょっと脱線するが、タイやフィリピンでは日本の動かなくなった中古車が、分解されて、エンジンはもちろんサイドミラーやハンドル、プラグからゴムパッキンに至るまで使用できる部品はすべて取り外して利用されている。他の中古車を修理するためにJAPAN MADEのリペアパーツとして販売されているんだ。その辺の子供は、ホイールやタイヤを運んだりすると僅かな手間賃を貰えたりする。ハキリアリみたいじゃないか? そう、私たちは、地球全体で物質を代謝しているだけなんだ。中古市場は日本でも賑わっているようだが、新しい物を生産するだけじゃなくて今あるモノを有効に利用していく事が緊急の課題だと感じているし、面白そうじゃないか。そんな事を考えていたら、テレビで修理しているのを見付けた。どこかの空港でスーツケースの鍵や靴を修理する人(お店)を。困った人の役に立つ、その道のプロだった。まあ、お金は掛かるわけだが めちゃくちゃ手際がいい。スーツケースの鍵なんかピッキングして数秒で開けてしまう。きっと、泥棒になった方が稼げるだろう。こういうファスナーも針と糸で、ちょちょいのちょいと直してしまう。それを見て思ったんだ。『自分にもできるかも』って。


さあ、同じような症状のファスナーさんがいたら、オペしてあげよう。壊れ方にも色々なパターンがあると思うが、このように樹脂のファスナーが生地から剥がれてしまった場合なら針と糸とハサミ、あと老眼鏡があれば治せると思う。左右どちらからでもいいが、外れた樹脂のグニャグニャしたムカデみたいな中に丈夫そうな紐状の細い生地が通っている。見れば分かると思う。そこに針を通しながら下地の生地へ同じ高さになるように縫い付ければいい。上下に一針一針ていねいに。壊れていない部分と比べれば、誰でもどうすればいいかわかると思う。心の中に静寂を見出して、ゆっくり正確に作業すればいい。気を付けなければいけないのは、糸の色を目立たないものにする事と、樹脂の部分は伸び縮みするので伸ばし過ぎず、縮め過ぎず、縫い進んだ時に全長が合うように調整しながら縫う事。






どうだろう? 動きもスムーズ。まだまだ、使えるぞ! 1時間ぐらいかかった。調子に乗って、娘の壊れたラケットバッグのファスナーを見てみたが、これはダメ。剥がれたりしてなくて一見正常だが、閉じても指で押すだけで開いてしまう。何度やり直しても同じ。ファスナーの種類や壊れ方にも色々あるようだ。このタイプの直し方を知っている人がいたらぜひご一報を!(→解決済み・後編をご覧ください) 同じ症状のラケットバッグが2個も放置されている。それから、リペアをTRYする人は、くれぐれも怪我の無いように注意してください。メガネは必須、目の保護のためにも。あと、針で指を刺すと痛いぞ! 血が出る。それではまた。
Meath magazine の定期購読
配信回数は少なめです。(月に3回ほど)
新製品やお得なセール情報もお届けしています。